ナチス親衛隊が持ち帰ったチベットの仏像、隕石でできていた


ナチス親衛隊(SS)の探検隊がチベットから持ち帰った毘沙門天像

エルンスト・シェーファー
エルンスト・シェーファー

ハインリヒ・ヒムラー
ハインリヒ・ヒムラー

【9月27日 AFP】1938年にナチス親衛隊(SS)の探検隊がチベットから持ち帰った仏像は、隕石(いんせき)を彫って作られていたという論文が26日、科学誌「Meteoritics and Planetary Science(隕石学と惑星科学)」に発表された。

アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の「第三帝国(Third Reich)」と宇宙からの「財宝」の結びつきを示した独オーストリアの合同研究チームによる調査結果は、まさに映画『インディ・ジョーンズ(Indiana Jones)』を地で行くような話だ。

鉄分を多く含む岩石で作られていることから「アイアンマン(Iron Man、鉄の男)」と呼ばれるこのチベット仏像は、動物・民俗学者エルンスト・シェーファー(Ernst Schaefer)が率いるSS探検隊がドイツに持ち帰ったもの。

ナチスドイツはアーリア人を最も優秀な民族としており、探検隊はアーリア人の起源はチベットにあるという説を確認するため、親衛隊長官のハインリッヒ・ヒムラー(Heinrich Himmler)の支援を受け、1938~39年にチベットに派遣された。探検隊のメンバーは全員がSS隊員だったとされる。

仏像は高さ24センチ、重さ10.6キロの毘沙門天の座像で、開いた右手を下に向けている。化学分析の結果、鉄とニッケルを多く含むアタキサイトという極めて珍しい隕石を彫ったものであることが分かった。

研究チームに参加した独シュツットガルト大学(Stuttgart University)のエルマー・ブフナー(Elmar Buchner)氏によると、1万5000年前にモンゴルとシベリア境界付近に衝突したいん石とみられる。

毘沙門像が彫られた正確な年代は不明だが、作風からチベットで仏教文化が確立する11世紀より前のものとみられる。(c)AFP

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