上海

お茶の水博士がいてもおかしくなさそうな上海。

少なくとも没落した日本からやってきた者にはそう目に写った。

空港から市街地へ向かうリニアモーターカーの速さは夢の出来事のようであり、ハイウェイは5、6車線だったと思う。

こんな勢いのものに日本は太刀打ちできるものか。

敗北感と中国4000年のスケール・メリットにリスペクトとを抱くのに、そう時間を要しなかった。

しかし、数年前のそんな上海の賑わいを見た時ですら、これは「バブル(虚構)」だと思った。

日本のバブル期と同じ空気だった。

没落が始まり、やがて陽を見るよりも明らかに物事が悪化していくの身体で知っている日本人には、その「虚構」臭、「インチキ」臭は痛いほどよく解る。

中国経済が危ぶまれて久しい。

多くの企業が(未だに)生産拠点を中国に求めているのは、バブル崩壊とその後の馬鹿げた「構造改革」に原因があり、また中国の没落に間に合わせた罠であったかのようにさえ思える。

僕は中国に大陸に活路を求めた大陸浪人、その後に続く関東軍の群れを今の海外進出企業に見る。

待ち伏せしたかのように蒋介石と毛沢東は手を結び、行く手を阻まれ、逃げる決断も出せず…。

やがて泥沼化し、終戦を迎える。